医療法人の貸借対照表の見方が分かりません

 

貸借対照表の勘定科目には、一般法人にはない流動資産の部の医業未収入金があります。一般法人だと売上に対する売掛金に当てはまる項目ですが、相手先が社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会であることから、回収時期が一定(原則2ヶ月後)であること、回収不能になるということがまずないという点で売掛金とは異なります。決算書に計上されている医業未収入金は、おおむね当該医療法人の事業年度終了前2ヶ月分の保険診療収入(窓口で収受した現金を除きます)となります。また、棚卸資産として医薬品勘定の金額が多額に計上されている場合は、医療法人内にて薬を調剤していることが推定できます。一人医療法人のように、小規模な医療法人では医療法人内にて薬剤を調剤していない場合(院外処方といいます)が最近では多く、その場合は医薬品の金額は少額となります。さらに、診療科目及び診療の仕方によって設備投資の金額は異なります(内科、小児科より外科の方が当然多額の設備投資が必要)。また、医療法人が行うことができる附帯業務は限られているので、固定資産については基本的には医療にかかる資産です。一般法人のように、副業としてアパート経営を行うことは原則的に禁止されています。
診療報酬収入は診療を行ったときに計上されます。医療法人の収入の大半は保険診療であり、医療法の改正により影響を受けるという特徴があるため、医療法人固有の原因ではなく制度の改正により収入が変化します。また、診療報酬は点数制になっており、1点は10円で、例えば診療所の時間内の初診料は270点と定められています。270点×10円で2,700円の売上となります。(病院と診療所とでは異なります)。昨今、この点数は財源不足により医療全体で減少傾向ですが、医院が不足している産婦人科・小児科については点数を上げているように、厚生労働省の医療政策により変化します。前年比と比べて診療報酬収入が減少していたとしても、国の施策による減少なのか医療法人自身の原因による減少なのか検証しましょう。
医療法人は、医療とその附帯業務以外の事業は原則的に禁止されているので、医療収入とその附帯業務以外の収入が多額に計上されません。そのため、投資に係る収入(配当金収入や株式の売却益等)はありません。売上原価は、医療法人内で調剤しているか、処方箋を書いて外部の薬局にて薬を調剤してもらうかで大きく変わります。医療法人内で調剤している場合は薬品の仕入れが計上されるので、売上原価の金額は当然大きくなります。医療法人の税金計算については、「社会保険診療報酬に係る概算経費の特例」「法人税率」「特別法人の特別税率」の特典があり、消費税や事業税も社会保険診療収入については非課税となるため、一般法人より税負担が少なくなっています。また、医療法第54条の規定により、剰余金の分配とみなされる行為は禁止されているため、利益処分による配当、役員賞与の支給はありません。

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