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医療外収入とは何ですか?

 

医療外収入とは、診療に付随して提供される様々なサービスによって得られる収益のことであり、医業外収益ともいいます。一般法人でいう雑収入と同様のものであり、具体的には、以下のような自動販売機収入やリベ一ト収入、副産物収入などがあります。
・自動販売機収入等
医院利用者の便宜を図るため院内に設置している自動販売機や公衆電話、消耗品やサプリメントの販売などから得られる収益は、医業外収入として収益計上します。これらの収入は多くの場合に小口かつ頻繁な現金取引となるので、収入管理表などを作成して計上漏れがないよう注意しましょう。
・リベート
医薬品や医療機器の納入業者、医療事業に関連して付き合いのある人たちから金銭によるリベートを受け取った場合や、不相当に高額な物品を贈与された場合は、医業外収入として収益計上する必要があります。請求書や領収書といった証拠になるようなものがない場合も多く、税務署の調査で申告漏れを疑われやすい項目なので注意しましょう。また、クリニックの創立記念日に催し物を開催する場合に参加者からいただくご祝儀ですが、交際費から控除することは認められていないため全額を雑収入として計上することになります。参加者を正確に把握することや、書面できちんと残しておくことが重要です。
・副産物収入
副産物の収入も費用・収益を両建てすることが必要な項目です。例えば、歯科の場合には、金歯を作成したときに生じた金の屑を金の納入業者が引き取り、仕入代金と相殺するケースなどです。
個人事業では、預金利息などの受取利息は「事業主借」で計上されますが、医療法人では、預貯金の利子や公社債の利子、公社債投資信託の集積や分配貸付金の利子などは医療外収入として定義されています。また、法人運営に関わる補助金や負担金についても医療外収入として及われます。医療外収入には様々な種類の収入が含まれますし、間違えやすい、対応が十分でないといったために申告漏れがあることもあるので、税理士等の専門家に医療外収入と思われる収入以外の収入もすべて確認してもらいましょう。

医療法人の税務調査について分かりません

 

税務調査は、申告内容が正しいかどうかを帳簿などで確認し、申告内容に誤りが認められた場合や申告する義務がありながら申告していなかったことが判明した場合には、是正を求めるものです。税務調査は以下のような手順でおこなわれますが、従来からの運用を踏まえて、税務調査手続が国税通則法において法定化されています。この改正は、平成25年1月1日以後に新たに納税者に対して開始する税務調査について適用されます。医療法人化する場合、個人事業で使用していた財産は、税務上も医療法上も財産価値のあるもののみ引き継ぐことが可能です。価値がないと判断されたものは引継ぎを否認されることもあります。
(1)事前通知
税務調査に際しては、原則的に、納税者に対して調査の開始日時・開始場所・調査対象・税目・調査対象期間などを事前に通知します。その際、税務代理を委任された税理士に対しても同様に通知します。なお、合理的な理由がある場合には、調査日時の変更の協議を求めることができますが、税務署等が保有する情報から、事前通知をすることにより正確な事実の把握を困難にする、または調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合には、通知せずに税務調査をおこなうことがあります。
(2) 質問検査等
税務調査の際には、質問検査権に基づく質問に対して正確に回答し、調査担当者の求めに応じて帳簿などを提示または提出しなければなりません。質問事項に対し偽りの回答をした場合や検査を拒否した場合、または正当な理由がなく提示若しくは提出の要求に応じない場合、偽りの記載をした帳簿書類の提示・提出をした場合などについては、法律に罰則の定めがあります。また、質問検査権行使の一環として、調査担当者が帳簿書類などの提示または提出の要求をできることが法律上明確化されています。調査担当者は、税務調査において必要がある場合には、納税者の承諾を得た上で提出された帳簿害類などを預かることがありますが、その際には預り証が交付されます(預かる必要がなくなった場合は速やかに返還される)。なお、税務調査の調査担当者は、調査の際に身分証明書と質問検査章を携行し、これらを提示して自らの身分と氏名を明らかにするので、調査の際には確認しておきましょう。
(3) 取引先等への調査
税務調査において必要がある場合には、取引先などに対し質問又は検査等を行うことがあります。
(4) 調査結果の説明と修正申告や期限後申告の勧奨
税務調査において申告内容に誤りが認められた場合や、申告する義務がありながら申告していなかったことが判明した場合には、調査結果の内容(誤りの内容、金額、理由)を説明され、修正申告や期限後申告(以下「修正申告等」)を勧奨されます。この場合は原則として修正申告等を行うこととなります。
(5) 更正又は決定
修正申告等の勧奨に応じない場合は、税務署長が更正または決定の処分をおこない、更正または決定の通知書が送られてきます。なお、税務署長が更正または決定の処分を行うことができるのは、原則として法定申告期限から5年間です。
(6) 更正または決定をすべきと認められない場合の通知
税務調査の結果や申告内容に誤りが認められない場合や、申告義務がないと認められる場合はその旨が書面で通知されます。
(7) 再調査
修正申告・更正または決定をすべきと認められない場合の通知が行われた後でも、税務調査の対象とした期間について、新たに得られた情報に照らし非違があると認められるときは、改めて税務調査をおこなうことがあります。
最近は減りましたが、医療業界は他業界と比べるとリベートや贈与などが多いです。特に多額の金銭が絡む設備の拡充などの場合には、パソコンや医療機器といったものが贈与されることもあります。数年前には、透析関連機器導入に際し、業者が附属設備の工事を無料でおこなっていたことが発覚し、透析実施病院と透析材料業者が集中的に調査を受けた例もあります。材料の供給業者と設備提供業者の間に整合性があれば、材料仕入価格の一部として否認されるかは微妙ですが、役員へのパソコン等の備品贈与などがあると個人的使用に供するものとして否認されることもあります。そのため、医療機器や備品については定期的に棚卸しを実施し、業者から無償提供してもらった資産については合理的な説明ができるようにしておきましょう。近年では、親族役員の報酬や給与について指摘されるケースが増えており、親族役員に関しては、業務内容や勤務形態などが同ランクである他の職員の給与等と比べて合理性があることを説明できるようにするべきです。特に医療機関の場合は、報酬を受ける親族役員が看護師など直接業務に関連する資格の有無は報酬の目安となります。
レセプトの発生から入金までの流れは、まず、診療行為をおこない翌月10日にレセプト請求、次に、翌々月下旬に入金および査定による入金の減額をおこない、そして、過誤分の訂正と再請求をおこないます。税務調査で問題にされることが多いのが、査定による減額の処理です。決算時に未収入金をいくら計上すべきかについては、減額となっても決算時には再請求できる可能’性があるため、原則的に、そもそものレセプト請求額で未収を計算して減額となったものも含めて計上しておきます。
社会保険診療以外にも、市町村の健康診断や労災保険、自賠實保険などの収入がありますが、市町村及び自賠責保険については特に留意が必要です。まず、市町村からの受託業務については請求項目が多く、入金のタイミングも長期になる場合があります。また、自賠責保険についても請求後6ヶ月以上経過するものも少なくないため、未収の計上漏れを指摘されることが多い項目です。決算時には請求管理簿のチェックをおこないましょう。
申告書を提出した後に、所得金額や税額等を実際より多く申告していたことに気付いたときには、「更正の請求」という手続により訂正を求めることが可能です。更正の請求書が提出された場合、税務調査によりその内容を検討して納め過ぎの税金があると認められたときには、税務署が「減額の更正」をおこなって納め過ぎの税金が還付されます。従来は1年でしたが、「更正の請求」ができる期間が法定申告期限から5年に延長されています(平成23年度税制改正)。例えば、調査の際には見つからなかった書類が後日見つかり、当初申告の内容が正しいことを証明できることになったとき等は、5年以内なら更正の請求ができます。ただし、これは法定申告期限が平成23年12月2日以後の国税に限り適用されます。平成23年12月1日以前に法定申告期限を迎える国税で、更正の請求の期限を過ぎた課税期間については、増額更正ができる期間内(5年以内)に「更正の申出書」を提出すれば、調査によりその内容の検討をして、納め過ぎの税金があると認められた場合に減額の更正をおこなうということです。また、税務調査等により税金の納付不足が指摘されて修正申告書を提出した場合、税務調査後に誤りが見つかったとしても従来は当初申告から1年経過後は更正の請求が不可能でしたが、請求期間が延長されたことにともない、調査官が修正申告の勧奨を行う際に「不服申立てはできないが更正の請求はできることを説明し書面も交付しなければならない」こととなりました。そのため、税務調査に従って修正申告をしても再度検討した結果に誤りがあったときには、原則5年間さかのぼって更正の請求をすることができます。

医療法人の消費税について分かりません

 

新たに設立した法人の、「課税期間の基準期間」における課税売上高が1,000万円以下の場合には、消費税の納税義務が免除されます。この基準期間とは、法人の場合は原則的に前々事業年度のことを指します。よって、新たに設立された法人のように基準期間がない場合には、原則として消費税の納税義務が免除されます。また、2期目以降は特定期間の課税売上高でも判定されますが、医療法人の非営利性の徹底の観点から、施行後に認可申請を行い設立される社団医療法人は、出資持分のある医療法人が設立できないこととされているため(平成19年4月施行の改正医療法)、個人事業者がいわゆる法人成りによって新たな法人を設立したようなときは、個人当時の課税売上高はその法人の基準期間の課税売上高に含まれません。これにともない、持分の定めのない医療法人の活動の原資となる資金の調達手段として、基金への拠出を募集することが可能となっています。持分の定めのない社団医療法人の事業年度開始の日における基金の額は、消費税法の定める「資本金の額又は出資の金額」に該当しないので、1期目の消費税は免除されます。
課税期間の前々年または前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書(消費税簡易課税制度選択届出書)を事業年度開始の前日までに提出している法人は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる「簡易課税制度」の適用を受けることが可能です。簡易課税制度は、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合としますが、この一定割合である「みなし仕入率」は以下のように事業の種類によって異なります。なお、医療法人の場合は概ね50%となりますが、物品の販売等については80%、不要な機器の売却は60%と、異なるみなし仕入率を適用することになります。医療法人の場合、消費税の課税対象とならない社会保険診療などがあること、経費のうちに人件費など消費税の対象とならない金額の占める割合が大きいことなどから、簡易課税制度を選択する法人が多いです。
みなし仕入率
第一種事業(卸売業)    90%
第二種事業(小売業)    80%
第三種事業(製造業等)   70%
第四種事業(その他の事業) 60%
第五種事業(サービス業等) 50%
医療法人の場合、健康診断、自由診療などの消費税対象となる取引と、社会保険医療や労災など消費税の対象外の取引があります。消費税の対象とならないものは、健康保険法・国民健康保険法・老人保健法などに基づいて行われる社会保険医療給付金、身体障害者福祉法・生活保護法などに基づいて行われる公費負担医療給付金、労働者災害補懷保険法など基づいて行われる医療給付金、助産にかかる医療などの診療収入です。一方、予防接種委託料、診断書作成料、健康診断、人間ドックなどの自由診療収入は消費税がかかる売上となります。また医業収入以外の収入についても、自動販売機の売上手数料や公衆電話の回収料金等の売上などは消費税がかかります。その他、医療法人で使用していた固定資産を売却した場合の固定資産売却額なども、消費税の対象となります。消費税は一般課税・簡易課税どちらの制度を利用するのが有利か、といった基本的な点も含めて事前シミュレーションが重要なので、どの取引が消費税課税対象となるのかきちんと確認しましょう。
設備投資が多額にあった場合などは課税仕入が大きくなるため、免税事業者であっても課税事業者を選択することにより消費税の還付を受けることができます。新たに事業を開始した法人が課税事業者になるには、その事業を開始した日の属する課税期間の末日までに提出することで、その課税期間から課税事業者となります。この届出書を提出した事業者は事業廃止の場合を除き、原則的に課税選択によって納税義務者となった最初の課税期間を含めた2年間は免税事業者に戻ることは不可能です。免税事業者である設立初年度から課税事業者になるかどうかについては慎重に考えましょう。
平成25年1月1日以後に開始する年または事業年度については、基準期間の課税売上高が1,000万円以下(または基準期間がない場合)であっても、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合は当課税期間から課額事業者となります(特定期間とは、法人の場合は原則としてその事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間)。なお、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。たとえ設立2年目の原則免税事業者の期間であっても、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えそうな場合は、一般課税または簡易課税のどちらが有利かをシミュレーションしてあらかじめ届出を出しておくことも必要です。持分の定めのない社団医療法人の場合、原則として設立初年度の消費税は免税となりますが、多額の設備投資を行う場合や特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合など、課税事業者になる可能性もあります。

医療法人の交際費について分かりません

 

交際費とは、交際費、接待費、機密費その他費用とされており、接待・供応・慰安・贈答、その他これらに類する行為のために支出する費用を言います。得意先・仕入先をはじめとして、その他事業に関係があるすべての相手が対象となります。交際費は、事業遂行上必要なためその費用性は認められていますが、経費として認められない場合もあります。無制限に認めることは社会モラルの面からも問題があるので、資金力を背景に交際費を使うことで中小規模の法人よりも優位に立とうとすることを抑制するため、大規模の法人の方が厳しくなっています。具体的な制限の区分は次の通りです。
①資本金・出資金1億円以下の法人
交際費の支出額の600万円以下の10%と600万円を超える部分の全額が損金不算入となります。
②資本金・出資金1億円を超える法人
交際費の支出額が全額損金不算入で、税計算上の損金にはなりません。
※平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度から、定額控除限度額800万円の全額が損金算入となります。
法人の交際費のうち「1人あたり5,000円以下の飲食費」については、一定の条件を満たせば交際費から除外することが可能です(平成18年度税制改正)。これは法人には有利な規定なので、以下のポイントを押さえておきましょう。
①相手先、人数、目的等の記載が必要な場合
1人あたり5,000円以下の飲食費であることを明確にするため、年月日、相手先、場所、参加者の氏名、飲食目的と内容などを領収書や支払い証明害を使い記載する必要があります。
②5,000円以下であること
5,000円を超えると、その費用すべてが通常の交際費となります。
③一店舗ごとであること
1回の接待で2軒の飲食店に行っても合算する必要はなく、1店舗ごとの1人あたりの計算となります。ただし、2軒が連続する一体の行為として認識されると、通常の交際費となります。
④接待のための飲食費であること
法人の取引先などでなければならず、自社の役員や従業員の場合には交際費にはなりません。また、タクシー代などの飲食費以外は適用できません。

医師の概算経費計算について分かりません

 

社会保険診療報酬が5,000万円以下の場合は、確定申告書に「社会保険診療報酬にかかる損金算入に関する申告書」の記載があれば、概算経費が認められます。社会保険診療報酬の範囲としては以下が挙げられます。
①健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、私立学校教職員共済法、地方公務員等共済組合法、国家公務員共済組合法、身体障害者福祉法、母子保健法、児童福祉法、戦傷病者特別援護法、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定に基づく 、療養、更生医療、養育医療、育成医療、療育または医療の給付
②出産扶助のための助産、介護扶助のための介護、あるいは生活保護法の規定に基づく医療扶助のための医療
③結核予防法、麻薬および向精神薬取締法、感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律、精神保健および精神障害福祉に関する法律の規定に基づく医療
④老人保健法の規定に基づく医療
⑤介護保険法の規定によって居宅介護サービス費もしくは居宅支援サ一ビス費を支給される被保険者に係る指定居宅サービスのうち、当該居宅介護サービス費等の額の算定に係る当該指定居宅サービスに要する費用の額として同法の規定に定められた金額に相当する部分、または同法の規定によって施設介護サービス業を支給するとされる被保険者に係る介護保険施設サービスもしくは指定介護療養施設サ一ビスのうち、当該施設介護サービス費の額の算定に係る当該介護保険施設サービスもしくは指定介護療養施設サ一ビスに要する費用の額として同法の規定に定められた金額に相当する部分
自由診療割合は、自由診療収入/総診療収入×調整率で算出します。調整率は次のようになっています。
内科、耳鼻科、呼吸器科、皮調科等~85%
眼科、外科、整形外科~80%
産婦人科、歯科~75%
措置法26条の概算経費における社会保険診療報酬の金額 (基金事務所からの振込金と窓口収入の合計)と概算経費率の関係は次のようになっています。なお、改正によって社会保険診療報酬の概算経費特例に総収入金額の上限が定められたため、総収入金額が7,000万円を超えるものは特例の対象外となっています(法人は平成25年4月1日以降に問始する事業年度から適用、個人は平成26年分以後の所得税について適用)。
2,500万円以下の部分     72%
2,500万円超〜3,000万円 70%+50万円
3,000万円超〜4,000万円 62%+290万円
4,000万円超〜5,000万円 57%+490万円

医療法人の保険未収入金について分かりません

 

社会保険診療報酬は、その月の診療点数を翌月10日までに請求することで、翌々月の20日前後に社会保険診療報酬支払基金等の報酬支払機関から振り込まれます。実額で計上しようとすると2ヶ月遅れとなり、一定の方法で診療点数を換算し未収計上します。会計では発生主義(診療したときに収入とする)をとっており、実際の収入と費用のバランスをみる上でも未収計上することが必要となります。総診療点数はレセプトコンピュータ等で算出できるので、その総点数より負担割合等を引いて計算し、理論的に2ヶ月後に振り込まれる金額を算出します。これにより概算で診療報酬を未収計上して、2ヶ月後に入金される実際の金額との差額を調整します。例えば、概算計上を800万円としていたところ、実際の振込みは810万円あった場合の計上方法は以下のようになります。
平成〇〇年4月概算計上
医業未収入金800万円/保険収入800万円
平成〇〇年6月4月分入金
保険収入 800万円/医業未収入金800万円
このように、6月に4月分の逆仕訳をおこない、次のように入金された実額を売上金(診療収入)として計上します。
普通預金 810万円/保険収入 810万円
保険未収入金は月末にならないと確定せず、医療法人から見れば治療費(収入)の30%ほどを患者から現金でいただき、70%ほどは社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会から2ヶ月後に振り込まれる仕組みです。その入金の通知がいつも月末になるので、あらかじめ想定して管理しましょう。保険未収入金を含めた管理や作業は、専門家に委託した方が本来の医業の妨げにならずに効率的ですが、医療法人を数多くクライアントとしている税理士や会計士は月末の申告作業が集中するので、前もってスケジュール等を打ち合わせしておきましょう。医療法人は法人事業税が一般法人よりも有利になっているのでその計算は一般法人よりも難しく、スケジュール的には問題があるかもしれませんが、医療法人に長けた専門家に依頼をするべきでしょう。

保険診療収入と自由診療収入について分かりません

 

健康保険などが適用され、患者が一部負担するものは保険診療収入となります。保険診療収入とは、以下の規定による給付または医療、介護、助産もしくはサービスによるものです。
①社会保険診療報酬
健康保険法、国民健康保険法、船員保険法、国家公務員等共済組合法(防衛庁職貝給与法を含む)、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、戦傷病者特別援護法、身体障害者福祉法、母子保健法、児童福祉法、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律、介護保険法
②公費負担医療
生活保護法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、結核予防法、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、麻薬及び向精神薬取締法、老人保健法
※その他、社会保険診療報酬支払基金等の報酬支払機関から支払を受ける金額のほか、窓口で患者から受け取る一部負担金なども含まれます。
保険診療収入以外のものは自由診療収入となり、労災収入や予防接種、健康診断など、法定の社会保険診療報酬外の診療報酬による収入となります。
①診療報酬
自由診療報酬、健康診断料、診断書作成料、医療相談料、往診車代、室料差額収入、正常妊娠助産報酬、美容整形報酬、通常近眼手術報酬、生命保険等の加入者検診料、優生手術報酬、予防接種料、機能訓練報酬、保険外歯科補てつ報酬、矯正料収入
②次の規定による診療報酬等
労働者災害補償保険法、国家公務員災害補慣法、母体保護法、性病予防法、自動車損害賠償責任保険法
③保険証を持参しない場合の診療報酬
④自家消費(家族等に行った診察代)
※その他日用雑貨品等の売上代金や公衆電話代、自動販売機の販売手数料等に関しては雑収入となります。また、国民健康保険団体連合会から受ける公費負担の収入のうち、利子補給金や事務取扱手数料等は雑収入に該当します。
診療に関わる収入でも、学校医・嘱託医等の手当、地方公共団体からの休日・夜間診療手当(地方公共団体が設置した病医院、保健所等で診療する場合)、地方自治体等の各種委員手当等は概ね給与所得に該当し、事業収入とは区分されて医師個人に帰属する収入となります。自由診療は病医院と患者の間で直接金銭の授受をおこなうため、脱漏や過少計上が生じやすい項目です。税務調査では自由診療収入割合のデータをもとに、診療料や規模から標準的な収入が割り出されるので、そのかい離がチェックの目安となります。また、自由診療収入では従業員の抜き取りが起こりやすく、従業員が不正を働かないように内部統制することも大切です。

医療法人の貸借対照表の見方が分かりません

 

貸借対照表の勘定科目には、一般法人にはない流動資産の部の医業未収入金があります。一般法人だと売上に対する売掛金に当てはまる項目ですが、相手先が社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会であることから、回収時期が一定(原則2ヶ月後)であること、回収不能になるということがまずないという点で売掛金とは異なります。決算書に計上されている医業未収入金は、おおむね当該医療法人の事業年度終了前2ヶ月分の保険診療収入(窓口で収受した現金を除きます)となります。また、棚卸資産として医薬品勘定の金額が多額に計上されている場合は、医療法人内にて薬を調剤していることが推定できます。一人医療法人のように、小規模な医療法人では医療法人内にて薬剤を調剤していない場合(院外処方といいます)が最近では多く、その場合は医薬品の金額は少額となります。さらに、診療科目及び診療の仕方によって設備投資の金額は異なります(内科、小児科より外科の方が当然多額の設備投資が必要)。また、医療法人が行うことができる附帯業務は限られているので、固定資産については基本的には医療にかかる資産です。一般法人のように、副業としてアパート経営を行うことは原則的に禁止されています。
診療報酬収入は診療を行ったときに計上されます。医療法人の収入の大半は保険診療であり、医療法の改正により影響を受けるという特徴があるため、医療法人固有の原因ではなく制度の改正により収入が変化します。また、診療報酬は点数制になっており、1点は10円で、例えば診療所の時間内の初診料は270点と定められています。270点×10円で2,700円の売上となります。(病院と診療所とでは異なります)。昨今、この点数は財源不足により医療全体で減少傾向ですが、医院が不足している産婦人科・小児科については点数を上げているように、厚生労働省の医療政策により変化します。前年比と比べて診療報酬収入が減少していたとしても、国の施策による減少なのか医療法人自身の原因による減少なのか検証しましょう。
医療法人は、医療とその附帯業務以外の事業は原則的に禁止されているので、医療収入とその附帯業務以外の収入が多額に計上されません。そのため、投資に係る収入(配当金収入や株式の売却益等)はありません。売上原価は、医療法人内で調剤しているか、処方箋を書いて外部の薬局にて薬を調剤してもらうかで大きく変わります。医療法人内で調剤している場合は薬品の仕入れが計上されるので、売上原価の金額は当然大きくなります。医療法人の税金計算については、「社会保険診療報酬に係る概算経費の特例」「法人税率」「特別法人の特別税率」の特典があり、消費税や事業税も社会保険診療収入については非課税となるため、一般法人より税負担が少なくなっています。また、医療法第54条の規定により、剰余金の分配とみなされる行為は禁止されているため、利益処分による配当、役員賞与の支給はありません。

利益相反取引の注意点は何ですか?

 

利益相反取引に当てはまる行為には、まず、理事長が自己または第三者のために医療法人と取引しようとする場合(直接取引による利益相反)があります。直接取引による利益相反取引の例は次のようなものです。
・理事長と法人間で行われる売買契約
・法人から理事長へ行われる贈与
・法人から理事長へ行われる債務免除
・理事長からの利息が付いた法人への金銭貸付
・理事長が受取人となる法人からの約束手形の振出し
次に、医療法人が理事長の債務を保証すること、その他理事長以外の者との間において医療法人とその理事等との利益が相反する取引しようとする場合(間接取引による利益相反)があります。間接取引による利益相反取引の例は次のようなものです。
・理事長と第三者間の債務を法人が保証する契約
・理事長が第三者間とする債務を引き受ける契約
相反取引を行う場合は、以下のいずれかの手続をとる必要があります。ただし、理事長と法人の間の取引であっても、法人の財産に損失を与える可能性のない取引であればこのような手続を履行する必要はないです(理事長が法人に財産を寄附するというような取引など)。
・社員総会で取引について承認を得る(社団法人)
・定款・寄附行為で、理事長個人と法人の利益相反取引について法人を代表する者を定めておく
・都道府県知事に特別代理人の選任を求めて、特別代理人が法人を代表して契約を締結する
理事長が所有する土地(時価1億円)を、次の価格で医療法人に譲渡した場合の理事長及び医療法人の課税関係は、例えば8,000万円(相続税評価額)で譲渡した場合には次のようになります。
・理事長に対する課税
理事長が医療法人に対して時価の1/2以上で譲渡しているため、相続税財産評価額8,000万円で譲渡したものとして税金が計算されます。
・医療法人に対する課税
医療法人が受け入れた土地の時価1億円と、実際の受入価8,000万円との差額2,000万円が医療法人の受贈益となり、法人税が課税されます。
4000万円で譲渡した場合には次のようになります。
・理事長に対する課税
理事長が医療法人に対して時価の1/2未満で譲渡しているため、時価の1億円で譲渡があったものとして税金が計算されます。
・医療法人に対する課税
医療法人が時価より低い4,000万円で資産を受け入れているため、時価1億円との差額6,000万円は医療法人の受贈益となり法人税が課税されます。

帳簿書類等の保存期間が分かりません

 

医療法人は、帳簿を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類(以下「書類」、帳簿と併せて「帳簿書類」)を、その事業年度の確定申告書の提出期限から7年間保存しなければなりません。また、法人が取引情報の授受を電磁的方式によっておこなう電子取引をした場合には、原則的にその電磁的記録(電子データ)をその事業年度の確定申告書の提出期限から7年間保存する必要がありますが、その電磁的記録を出力した紙で保存しているときには電磁的記録を保存する必要はありません。保存すべき帳簿には、総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあり、また、書類には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。
帳簿書類の保存方法は原則的に紙によるものなので、電子計算機で作成した帳簿書類についても、原則として電子計算機からアウトプットした紙で保存する必要があります。ただし、保存期間の最後の2年間に当たる6年目及び7年目の帳簿書類(一定の書類については最後の4年間)は、一定の要件を満たすマイクロフィルムにより保存することが可能です。なお、マイクロフィルムによる保存をする場合には、一定の基準を満たすマイクロフィルムリーダまたはマイクロフィルムリーダプリンタを設置する必要があります。自己が電磁的記録により最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する帳簿書類で一定の要件を満たすものは、紙による保存によらずサーバ・DVD・CD等に記録した電磁的記録(電子データ)のままで保存することができますが、電磁的記録による保存をおこなう場合にはあらかじめ所轄税務署長へ申請書を提出して承認を受けなければなりません。この申請書は、備え付けを開始する日の3ヶ月前の日までに提出することが決められています。保存すべき書類のうち、棚卸表、貸借対照表、損益計算書、計算や整理または決算に関して作成されたその他の書類、取引の相手方から受け取った契約書、領収書等及び自己の作成したこれらの写し、これ以外の一定の書類については紙による保存だけでなく、スキャナ読取りの電磁的記録による保存をすることもできます。なお、参考欠損金の繰越控除の適用を受ける場合に限っては、帳簿書類等の保存期間は9年となります。法人が電子取引をした場合には、その電子取引に係る電磁的記録を一定の要件を満たす方法により保存しなければなりません。

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