こんにちは。コボ(@kobo_blog)です。
激務って聞くけど本当?
財政課は出世コース?
自治体の財政課についてこのようなことを聞いたこともあるのではないでしょうか。
これから公務員を目指す方は、そもそも財政課は何する部署かイマイチ分からない方もいると思います。
そこで本記事では自治体の財政課についてさまざまな視点から紹介していきます。
下の写真の通り、私は民間から公務員に転職して最初の配属から財政課となり、約4年勤務しました。
公務員試験の面接から希望部署に挙げていたので、考慮して配属してもらえた形です。
今回は財政担当として勤務した経験から、必要となる能力なども紹介しています。
また、私は財政担当のみ経験して民間に戻りましたので、公務員から転職する視点でも感じた点を書きました。
これから公務員を目指す方も、試験時の参考情報としていただけるかと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。
財政課の主な仕事
まずは財政課にはどのような業務があるか紹介していきます。
特に大きな仕事としては2点あります。
- 年間予算の作成、査定
- 決算対応
この他にも自治体によって財政課が行う業務があります。
予算要求の査定、予算案作成
予算査定と予算案策定は、財政課の最も大きな業務です。
ざっくり説明すると、11月~翌2月くらいにかけて各部署から出される予算要求に対して、妥当か査定を行いながら次年度の予算を策定する流れになります。
予算の査定
こんな方法ならもっと少なくて済みません?
このようにまずは各部署から次年度の事業に必要な予算額が出されます。
これに対し、財政課の職員がそれぞれの担当(Aさんは教育費、Bさんは民生費など)を持ち、内容や金額を精査していくことになります。
各部署の管理職クラスと折衝が続く
各部署の予算要求は管理職クラスが決めていることが多いです。
そのため、事業の内容や金額の根拠を管理職クラスにヒアリングすることが頻繁にあります。
若手~中堅の職員からすると、目上の人が出してきた要求に対して、指摘を入れることになるわけです。
すんなり査定を受け入れる物わかりの良い管理職はほぼいませんので、不要な金額を洗い出し何度も説明する必要が出てきます。
後述しますが、このことが財政課がきついと言われる一つの要因だと感じます。
知事や市長への説明
予算要求の査定がある程度進み、次年度の予算案の方向性が固まると、首長へ説明する必要があります。
私がいた自治体の場合は、下のような内容を時間をかけて説明・議論していました。
- 全体的な予算規模の状況
- 各事業の予算要求概要
- 財政課としてどのような査定をしたかとその理由
- 首長からの質問回答・要望
偉い方々に自身がどのような理由で予算査定をしたか説明し、それに対する質問もあるためプレッシャーがかかるキツイ業務になりがちです。
予算案のとりまとめ、公表資料の作成
首長へ説明したうえで、最終的な調整が完了すると議会に出す予算案のとりまとめを行います
また、次年度の予算概要や主な事業を説明する資料を公表する自治体がほとんどですので、その資料作成も財政課が行うこととなります。
ここか細かい数字のチェックも入るので、時間もかかる作業になります。
決算対応
財政課は前年度決算のとりまとめ業務も行います。
この業務が予算策定に続いて大きな役割となります。
決算ではざっくり説明すると以下の内容をまとめることになります。
- どのような歳入があったか
- 各事業に対してどの程度支出があったか
- 自治体の財政状況の解説
民間企業では四半期ごとに決算発表していますが、自治体は年単位で決算をとりまとめ議会にかけます。
貴重な税金を使っていますので、『何にいくらつかったか』を公表・説明する必要があるわけです。
その他、決算に伴うさまざまな指標を算出したり、県の担当者へ説明を行うなど多くの業務が発生します。
その他、自治体によって担当する業務
このほか、自治体によって財政課が担当するさまざまな業務があります。
財務書類の作成
自治体も民間企業と同じような財務書類を作成する必要があります。
厳密には民間のPL・CFなどと異なる点もありますが、おおよそ似た内容になっています。
決算を担当することから財務書類作成を財政課が行うことが多いです。
固定資産の管理
こちらは財務書類作成にも絡む業務ですが、自治体が持つ資産の管理を行うこともあります。
購入・設置した日付や、設置場所の管理などはもちろんですが、「減価償却費」や「耐用年数」を一元管理することも必要になります。
自治体によっては総務課などが担当しているところもあるかと思います。
ふるさと納税
何かと話題になるふるさと納税ですが、財政課が担当している自治体もあります。
歳入確保の観点から担当することになりますが、産業・観光関連の部署と連携をとることが多くなります。
返礼品については厳しい目もあったりするので、国などからも調査依頼がくるなど対応も多岐に渡ります。
財政課に必要な能力
財政課の業務を進めるうえで必要な能力があります。
私が配属されて担当した経験から感じた点ですが、どの自治体にも共通する点かと思います。
ストレス耐性
予算策定の時期は特に重要になりますが、ストレス耐性が必要です。
先ほども紹介しましたが、ストレス要因となるのは以下の点になります。
- 各部署の管理職と予算の折衝を行う
- 首長を中心とした特別職への説明
特に各部署との折衝は揉めることも多く、役職上は下の立場から指摘することになるので気を遣うケースが多々あります。
このように精神的な負荷がかかることになるので、ある程度ストレスに耐えられる力が必要です。
私は何言われても淡々と査定してたので、言われることを真に受けすぎない気持ちが大切です。
体力
財政課は激務部署として有名です。
予算・決算時期は残業80~100時間/月となることはよくあります。
(もっと残業してる!という方の声も聞こえそうですが…)
さらに場合によっては土日も出勤し作業する必要が出ます。
これらの長時間勤務にも耐えうる体力も必要になります。
説明能力
財政担当になるとさまざまな人に対して、状況を説明するケースが出てきます。
例えば以下のような場合です。
- 各部署への予算査定状況の説明
- 首長などへ予算・決算状況の説明
- 課内の上長へ状況や自身の意見を伝える
- 議員への予算・決算の説明
- 財務書類に関する庁内研修
予算や決算は自治体においても重要な決定事項となりますので、比較的役職の高い人へ説明する機会が多くなります。
そこで必要な能力となるのが、説明・プレゼンのスキルとなります。
特に忙しい人たちが多いので、「簡潔に、分かりやすく」伝える力が求められます。
私は以下の本を参考に、とにかく「結論⇒根拠」で話すように徹底していました。
あまり人前で話すことが得意でない方は、気の重い業務になるかもしれません…。
財政課は出世コース?
庁内では「財政課なら出世コースだね」とよく言われていました。
現実として私がいた自治体においては、「財政課経験者が出世している」傾向は確かにありました。
その理由としては以下の点があるように考えられます。
・首長と同じ目線で考える業務が多い
・自治体のあらゆる事業に詳しくなる
・各部署の管理職とパイプができる
現場を知ることはもちろん需要ですが、出世していくにつれて経営層に近い立場になってきます。
その際、財政課の経験が活きるため、出世の対象になりやすいことはあります。
庁内では嫌われ役
しかし、庁内の部署からは嫌われ役となることが多いです。
やはり、各部署が考えた事業・予算に指摘を入れ、予算を削る業務が発生することが理由です。
ただ、厳しい指摘をすることだけでが財政課の仕事ではありません。
もし配属されることがあれば部署の職員の意見をしっかり聞きつつ、財政の立場からの要望を聞き入れてもらえるようコミュニケーションを取ることが重要です
公務員試験で希望部署として挙げるのもあり
私は公務員試験の面接では、どの自治体でも財政課を希望部署に上げていました。
どの自治体も財政運営上、厳しい状況があるので、財政課としてその課題解決に取組みたいと伝えていました。
「コスト意識を持って業務に取り組みたい」という姿勢は面接でも良い感触を得ることが多かったように感じます。
もし入庁してから財政業務に興味ある方は面接でも伝えてみることをおすすめします。
公務員から転職するときも有利な面もあり
財政課の業務は、企業でいうところの「財務」「経営企画」に比較的近い部署になります。
そのため、自身の取組んだ業務内容や実績が評価されることもありました。
基本的に公務員から民間企業への転職は難しい傾向にありますが、その中でも財政課としての経験は活かせる経歴として使うことができます。
まとめ
今回は財政課の仕事について解説してきました。
確かに精神面・体力面ともに大変な部署になりますが、その分大きな経験を積むことができます。
公務員として働くにしろ、民間企業へ転職活動を行うにしても考え方や知識を身に着けることも可能です。
また、公務員試験でも希望部署として伝えやすい部署になるかなと思います。
もし自治体財政に興味が出たり、異動で財政課になったという方は以下の書籍が分かりやすくおすすめです。
私も入職してすぐ購入して読みましたが、基本的なことを学ぶことが可能です。
キツイけどやってみて良かったと思う仕事ではありますので、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
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